わたしたちは弟を行うことにうみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば姉来るようになる(アネクル人への手紙6章5節)*1
姉成分が摂取できるという有志の情報を得て、有名インディーズゲームである『OMORI』をswitchにてプレイ。グッドエンディングを迎えた今、姉成分はもとより心地の良いゲーム体験が心を満たしているので感想。
◆どんなゲーム?
いなくなった友達を探してたらイセカイに行ったり求婚されたり優良社員になってたりするゲーム。要領を得ないが嘘じゃないよ。本当に。
仲間を引き連れてフィールドを練り歩く様は、ドラクエやMOTHERで見た馴染みのある光景。夢想を思わせるメルヘンな世界観のエリアが節操なく繋がりワールドを形成している。個性的なゲームデザインではあるものの中核はクラシックなコマンド戦闘RPGなので特徴さえつかめばなんてことはない。
◆バトルは面白い?
バリ・オモロイ伯。上記にある通り、一目見ればわかる基本的な戦闘画面でありながら、「畳みかけ」や「感情」などのシステムが本作品の雰囲気にマッチしていてとても好感触。シンボルエンカウント式なので避けることができればバトルも回避できるうえ、バトル最中の「逃げる!」も高確率で成功するので、バトルで発生するストレスはそこまで強くはない。(中盤如実に敵のレベルが上がり、回復とエンカを繰り返すところがあるがGBAデビルチルドレンの序盤に比べれば全然有情)
スキル枠に制限があるので「どの感情を基軸にして戦うか」のようなデッキ構築の楽しみもある。
◆畳みかけ? 感情?
いわゆる属性なのだが、それでいて状態異常にも近いニュアンスがあり敵味方に付け替え可能なのがこの感情システム。さらに同じ感情なら2段階まで重ね掛け可能(主人公のOMORIやボス敵のみ3段階ある)。さらにさらに感情なので剥奪も可能、ロボトミーでもしたんか?
スキルの中には特定の感情でダメージアップ、追加デバフを与えるスキルが多くあるので感情、大事ということがよくわかると思う。
そして畳みかけ、これは「たたかう」コマンドの後にやる気を消費して行える追加行動になる。やる気は敵からの攻撃により1増える。全体攻撃を受けると4増える。
ゼノブレイドの突発キズナのようなシステムなのだが、キャラクターそれぞれに特色があり、これがまた愛らしく面白い。
例えばパーティーの紅一点オーブリーちゃんは好意を寄せているOMORI君に熱い視線を送り、無視され、八つ当たりに敵に大ダメージ。また喧嘩友達のケル君に目線を送ると煽られて感情がイライラに変化する等々。
友達たちがどんな畳みかけ技を繰り出すかも一つの楽しみだ。
そしてやる気が10貯まるとOMORI君のやる気開放!によって合体技を繰り出せる。ゴリラ火力が噴き出る。パワー。
どれだけかというと通常攻撃が30ダメージぐらいの時に500とかでる。
このようにやる気開放がありえん火力でパワいので、ボス戦ではやる気がたまるまで耐えきり、一転攻勢をかけるなんて戦法もかなり有用になってくる。
◆キャラクター教えて
バトルで活躍する4人のみを紹介する。いやだ!姉を!MARIを紹介させろ!!姉を出せあn
【OMORI君】
主人公。寡黙で、陰鬱な雰囲気をまとう。装備できる武器はナイフのみ。友達たちがぬいぐるみやバスケットボールを武器として扱う中で異質な暴力性を感じる。畳みかけは「二回攻撃」と素早さを下げる「つまづかせる」と他の友達と比べると味気ない。
バトルでは標準的AGIと高STRを武器に中軸でダメージを稼ぐキャラ。序盤ではしょんぼり状態から繰り出される「刺す」が強い。中盤になると敵の感情に準じた追加デバフを与える動き方ができるようになり立ち回りに味が出てくる。感情変化に不器用さがあるので自己完結型ではないけれど、バランス感覚のいいキャラクター。
『OMORIは屈しなかった』というメッセージとともに一戦闘に一回だけ即死を免れることができる特性がんじょう持ち。
ニコニコ状態の時の顔がヤバい。
【ケル】
OMORI君の友達。負けず嫌いで好奇心旺盛な正義漢。後述のオーブリーちゃんとはよく喧嘩をしている。マップ上でもプチうるさいので「またお前か」となる。得物はボール。畳みかけでは友達にボールを渡すことで追加攻撃を行う。
バトルではバカほど高いAGIでよほどのことがない限りファーストアタックがとれる。そのため初期スキルである「いらつかせる」やアイテムを用いて感情盤面を整えるサポートの動きが安定する。中盤になると「素早さの値に基ずいた攻撃」や全体攻撃スキルが手に入るのでスピードアタッカーとしても重宝する。
ケル君が女体化したら褐色元気美少女になるので男のことでよかったと思う。
【ヒロ】
ケルのお兄ちゃんで、OMORI君の姉MARIの恋人でもある。姉を求めて始めたゲームだったのでしょっぱな「姉には恋人がいる」という事実に目の前がくらくらしたものだが、ヒロの温和な性格と平和的思考にはカリスマ性を感じ、人として好感を抱いてしまう。気が付けば姉とのお付き合いを祝っている弟の僕君いた。得物はフライパンとかキッチン器具。
バトルでは高耐久とヘイト獲得によるタンク役を引き受けられる。さらにパーティ唯一のヒーラーで体力管理を一手に担う。ヒロがいなかったら諸々終わっていた。「ヘイト獲得+敵をニコニコに変更」する先制スキルや「相手の攻撃減+ニコニコを付与」スキルなど敵の感情変化を得意とするので弟のケルと合わせて先手を取り有利状況に整えることができる。
ストーリーが進めば進むほどその頼もしさに我々プレイヤーも支えられることがしばしば。
彼は間違いなくヒーローだ。
【オーブリー】
パーティの紅一点。明朗快活な性格で自分の気持ちに正直な言動をとる。ボクのことが好き(くそ重要)。得物はぬいぐるみ。畳みかけは友達にアイコンタクトを送ることで感情付与、回復、追加ダメなどの効果を得られる。
バトルでは生粋のアタッカー。FFⅨのスタイナーかな。低AGIなので攻撃順が最後になることが多いが、ヒロたちが整えた感情盤面の上から高火力の一撃を食らわせられるのでそこまでマイナスではなくむしろプラスに働く。
序盤はケルにイライラさせられた後、スキル「頭突き」で大体の敵は消し炭になる(ヒロによる体力管理を怠らないように)。中盤には「防御を下げる攻撃」、「攻撃した後にこにこになる」などダメージを稼ぎながら有利展開を広げられるのでOMORI君とパーティの両翼になること間違いなし。また体力も高いのでタンクができないでもない。「ヘイト獲得+反撃」のスキルがあり、さらには終盤に「体力が少ないほどダメージが上がる」スキルも覚える。窮鼠猫を嚙む。
にこにこになるとシイタケ目になる。かわいいんで見て。
◆不満点
あえて挙げるとするならば、マップ移動の冗長さ、ボス戦で感じる単調さ、ナビゲーションなしなどユーザビリティに欠けるところがあるかな。
しかし「昔のゲームってこんなんだったな」と思いながらプレイしていたので個人的には気にならないレベル。
またこの絵柄からもわかる通り、王道ファンタジー冒険譚というよりも可愛らしく緩い雰囲気漂うストーリー……の裏にある暗い真実が。雰囲気強めのゲームなので人を選ぶのは否めない。
◆まとめ
以上「OMORIはゲームとしておもろいんですンパァ…」という嘆きでした。
総評、謎や違和感、場所や時間の不明瞭を感じながらも、「操作とシステム」という使命をもって物語を主体的に進めていける、とてもゲームらしいつくりのゲームでした。
キャラクターが立っているRPGがやりたい。姉が欲しい。弟である。という方はぜひトレーラーを見ていただきたい。
*1:嘘