早速感想に。
アトラス×ヴァニラウェアプロジェクトの新作SRPGとして発売前から注目度は高く、私も凄く期待していた作品。
クリア時間は約75時間でした。
突如として侵略し始めた帝国。亡国の王子アレインは祖国奪還の為に大陸を巡る旅に出る。
というのが物語の大筋です。
NEW GAMEを押すとプレイヤーは、早速滅亡の危機に瀕したコルニア王国の戦闘に放り込まれます。
「御託は良いからプレイしてくれ」という制作側の自信と面白さへの確信を感じられる!
「ゲームは十字キーで移動、何かしらのボタンで決定さえ分かってれば探り探りで遊べる」、チュートリアルに飼いならされてしまった私にとってはそんな当たり前のことを思い出させてくれるいい仕様。
チュートリアルを挟むタイミングを少しずらしただけの話なのだが、これだけでゲームへの没入加減が全然違いますね。
ちなみにこの後、成長したアレインを操作する際にしっかりとチュートリアルが入るのでそこのところは安心。
こんな感じでチュートリアルや難易度選択の前にしっかりとゲームの世界へプレイヤーを導いてくれるこの仕組みは、十三機兵防衛圏でもオーディンスフィアでもそうだったと思う。ヴァニラウェアの十八番ですね。
道中で織り成す哀歓混交のサブストーリーとキャラ同士の支援会話や掛け合いは短めながらその数は豊富で、手軽にキャラクターの知られざる一面が見られるところが魅力的です。
そしてその中で私が特筆してあげたいのは、NPCキャラとのフィールド上での会話。
RPGではそこらにいる立ちんぼNPCに話しかけてしまう私ですが、今作でも例に漏れず話しかけまくった。
その中には、倒してしまった敵将の在りし日のことを語る住民もいれば。
なんて事のない会話の中にヒントを隠す者もいて──
ポエムみたいなことを言っている人もいる。
直接的にゲームには関係がない部分ですがフェブリス大陸に根差す人々の何気ないセリフが世界を作り上げている。
「神は細部に宿る」と言うのならば、彼らはゲームと現実との境界線に立っていると言えるのではないでしょうか。言えないと思う。
港町では船に乗り特定の場所にジャンプできるのですが、こういった何気ない会話によってその移動先に説得力が出るのも大変良い。
さてユニコーンオーバーロード全体はSRPGながらオープンワールド寄りのゲーム体感になっていて、舞台となるフェブリス大陸をSDアレインで駆けまわることができる。
フィールドに点在しているアイコンに触れると攻略マップへと移動できる仕組みです。
「オープンワールドと言いながらこじんまりとしてないか」と侮るなかれ。
山や川などの地形は巧みに設置されていて「見えてはいるけれど行けない」という場面に多々あります。そしてそういうところにはアイテムがある!
これが何というか古き良きRPGのワールドマップの系譜を受け継いでいるとひしひしと感じます。
お次は戦闘へ。
いわゆるリアルタイム制。
コストを消費して拠点から小隊を出撃させ、ユニットを移動地点まで動かして敵ユニットに触れると戦闘。
すると素早さに応じた小隊規模の戦闘が自動で始まる。ここまでの動きは先ほど名前を挙げた十三機兵防衛圏にも通じた操作感があるように感じました。
ユニットについてる数字はスタミナで、一戦闘で一つずつ消費される。戦闘で「残HPが少ない方が敗北」となり一定時間動けなくなります。
接敵すると結果が表示され、これは回避やガードを含めた結果なのでスキルを変えない限りは戦闘画面で結果が変わりません。
オプションに頼らないワンボタンカットが可能になっていてかなり快適です。
戦闘ログもあるので詳細を確認はじっくり行えるところも配慮が行き届いているなと感じます。
話が前後しますが、ところでスキルを変えるとは何か。
さきほどの画像を説明しますと与ダメ224の被ダメが250。
「残HPが低い方が敗北」となり、一定時間動けなくなります。
こちらがよりダメージを受けているので、このままでは負けてしまう。
そこでスキルの変更が活きてきます。
ざっくりと説明すると赤がメインのスキル、青が条件下で発動するパッシブスキル。
スキルの使用の有無、そして発動の条件を変更できるというわけですね。
上の画像だと騎馬系の敵に通りの良い技は今回必要ないので、優先順位を降ろし、炎上効果が狙えるファイアブレスをもってきております。
さらに全体の行動速度を低下させられるドラゴンロアーでこちらの移動スピードを上げてダメージを受ける前に倒すようにスキルを構成します。
するとこう。段違いにダメージが伸びます。また敵の主戦力をがっつり削れてることで被ダメも抑えられてますね。
このようにして戦闘を繰り返し、マップ攻略を進めていきます。
進軍の仕方よりも一回一回の戦闘の戦術を考える時間に重きを置かれるシステムになってます。
ユニット構成、スキル構成、装備。
オンラインプレイと相性の悪いSRPGでも「作ったチームで競わせる」という親しみのあるアリーナの形式に落とし込んだのは、個人的に凄いと感動しました。
そしてマップ攻略の際にはブリーフィングはもちろん、地形やアイテム、会話に登場するキャラなどがクリアへの道しるべとなっていて、ここらへんも是非プレイして「気づきを得る」喜びを感じてもらいたいと思う部分でした。
総評、力強い王道英雄譚と幻想的なイラストで描かれる精緻かつ大胆な仕上がりのSRPG。
SRPGと言わずこれまで世に出た多くのRPGの歴史の上にユニコーンオーバーロードという作品が誕生したんだと感じられる力作。
「真っ当(ドストレート)に面白い」をぶつけられた気分です。
軸として展開されるフィールド探索やオンライン対戦、キャラメイクや倍速機能等細やかな要素の数々が抜かりなく揃っている。
令和の現在にフォーカスを当て制作されたことがひしひしと伝わってくる出来で、その完成度には舌を巻きます。