究極ウンチ地獄絵図

逃げ場なし

【今年のベスト3】小説とゲームと私2022ver.

 

今年最後の更新です。

今年も僕はゲームと小説にまみれた一年…とはいかなかったですね。仕事や身内のことでてんてこ舞いだった一年でした。

しかし少し余裕ができてページを開けば、スイッチを押せば、最後に触った時のままの状態であるわけです、当たり前ですが。

忙しないことが平常の中で止まったままのそれがなんとも「待ってくれていた」感じがしてなんともありがたい気持ちになります。

今年プレイして心に残っている小説、ゲームを3つずつ上げたいと思います。
まずは小説から

 

1.同志少女よ敵を撃て 著:逢坂冬馬

 直木賞候補作でありながらアガサクリスティー賞受賞作。私が手に取ったのはロシア侵攻が始まった時期と偶然ながら被っており、そういった時勢の動きも含めて心に残りました。

激化する独ソ戦の戦火に突如として巻き込まれた少女セラフィマ。育った村の全てをドイツ軍に奪われた幼い彼女が赤軍の兵士イリーナの元、少女から狙撃兵へと成長(へんか)していく話。

序盤はセラフィマやその狙撃兵訓練学校の仲間たちとの青春小説のようなハツラツとした流れだったのだが、徐々に変わる戦況、セラフィマの内証の表現等が個人的に好きな転調で、だらだらと呼んでいた序盤から一転して中盤から最後までは一気に読んでしまいました。

彼女の銃口の先にいる『敵』とは何者なのか──。ぜひ読んでいただきたい一冊。

 

 

2.黒牢城 著:米澤穂信

 今年は米澤さんの年と言っていいほど著者の作品を読みましたね。人生で初めて著者にこだわって読んだかもしれない。

黒牢城は元々父が去年の末に買ってきたんですけどなかなか読まないので私が読み始めてしまったという経緯があります。

米澤さんと言えばミステリー。しかしどうやら今回は様子がおかしい…。なんとも時代小説の香が漂ってきます。

時は戦国、舞台は有岡城。信長に謀反を起こした荒木村重の元を訪れた黒田官兵衛は、村重によって城の牢に繋がれてしまった。

ここからいったいどう展開するのか、と思っていたらば有岡城で奇怪な事件が起き始め……
ここまで言えば読んだことない人でもわかる方がいらっしゃるかと思いますが、この黒牢城、安楽椅子探偵でございます。

私はミステリーの中でも特に安楽椅子探偵は大好きなジャンルで、村重が牢へと向かっていくシーンで「まさか」と興奮しましたね。

そして一つ一つの事件は著書らしく一辺倒の切り口で解決する形ではなく、開けた道が別の謎を呼ぶ退屈の隙間のないもので、米澤ワールドはこの戦国の時代でも遺憾なく発揮されていると言えるでしょう。

村重と官兵衛が敵対の関係性であるという妙があり、古典部シリーズのようなキャラクター性が強い作品になっているのもまた面白い。

 

3.ニューロマンサー 著:ウィリアムギブスン

 小学生の頃に意味不明に思いつつ流し読みしていた作品を今一度読み返しました。きっかけはアニメ作品『サイバーパンク2077─エッジランナーズ─』を読んだ影響でサイバーパンクSFを無性に読みたくなったからなんですが、SFにはそこまで明るくないのでかなり及び腰でのスタート。

 さて著作ですが、正直今読んでみても

『わからない。俺たちは雰囲気でニューロマンサーを読んでいる』

感は否めなかったですが……。小学生からおつむの中身が変わってないんよね。

しかし分かりやすい用語解説や時代背景の説明を取っ払ったことで、さながら私たち読者側がチバ・シティにジャックイン(追体験)できると、そういう仕組みなんですね。

嘘ですが。

本の読み方として、読書に行き詰まったら巻末寄稿文・解説を読むというものがあります。あそこは読後に読むのがスジだとは思うのですが、作品全体の輪郭をつかむにはうってつけなので。
閑話休題、例にもれずニューロマンサーも解説へジャンプ。

──解説は不要である。

わ~お。

でも解説の山岸氏が言う様に、ニューロマンサーは文章が醸す世界をただただ楽しむ、バッチバチにキマッた小説なのかもしれない。……いやこういったジャンルに造詣の深い方からすればそんなことはないのでしょうが。

私個人としては心震えたあのアニメの先にある著作のエッセンスをわずかながらにでもインストールすることで、作者の意図やテーマなんかをほっぽり出して文字に溺れる感覚を楽しめました。

置いて行かれるとは聞こえが悪い、置き去りにされる。これはそんな一冊なんじゃないでしょうか。

 

 続いてゲーム部門

1.十三機兵防衛圏 開発:ヴァニラウェア

 switch版にてプレイ。一言でいうと『物語の情緒を完璧にとらえた傑作』ゲーム。

タワーディフェンス型のシミュレーションバトルパートである崩壊編と、崩壊編へ至る階を描くアドベンチャーパートの追想編に大きく分けられる。

沖野

ヴァニラウェアらしい美麗2Dグラフィックに加え同チャプターから異なる回答を得て一つの真実を見る多層構造が面白いアドベンチャーパートに脚光が当たりがちだが、バトルパートもなかなか奥深く中毒性が高い仕様となっている。

機兵という巨大ロボに搭乗した少年少女たちを操作し制限時間までターミナルを防衛することが勝利条件。攻めてくるの怪獣たちにそれを破壊されれば負けである。

彼らそれぞれ個性的なスキルがあるのでこれらの組み合わせを考えるのが非常に楽しい。

そしてこういったキャラクター性・相互関係性を強く印象付けるための追想編、というように二つのパートが物語やゲームとしての行間をしっかり補い合っている。

はつらつ

 

2.LIVE A LIVE(リメイク版) 開発:スクウェア・エニックス

 伝説的名作、再び。いやぁ楽しかった……プレイ中マジで感嘆詞しか口から発さなかった。

私は本家ファミコン版のプレイ体験が幕末編でストップしている、珍妙で半端な脳内セーブデータ持ちなのです。

果たして楽しめるのか。

若干の不安と共にスイッチを押す。

「う、うわあぁぁーーー!!」

記憶がありありと蘇りながらもところどころ遊びやすくなっている幕末編うわー!

「う、うわあぁぁーーー!!」

初プレイだけど、普通にのめりこみすぎて伍長がコーヒー飲むころには日が暮れて部屋が真っ暗なっていたSF編うわー!

「う、うわあぁぁーーー!!」

格闘ゲームをターン性バトルしっかりと落とし込んでいる~ナムの膝!

「う、うわあぁ(略)

とオムニバス形式のシナリオ一つ一つにめちゃ感動しながら進めていました。

しかし、古典的と言えるぐらいに王道なストーリーや雰囲気があるにはあるのですが、それらを古臭く感じさせない、むしろより熱く感じさせるゲームとしての魅せ方が抜群。

あとセリフを切るところが上手すぎる。

RPGアドベンチャーゲームにとってセリフ送りとはつまるところ、ゲームテンポの中枢を担うと言っても過言ではないと考えているのですが、今作、マジでそこらへんが素晴らしいですね。昨今ではムービーの台頭によってこういう表現は影を薄めがちですがやはり! 素晴らしいものは素晴らしい。

「ゲームっていいな」と改めて思わせてくれた作品でした。

中世編は……ね。

「う、うわあぁぁーーー!!」

脱王道ファンタジー的ダーク展開うわあぁー!!

 

3.G-MODEアーカイブス+ 女神転生外伝新約ラストバイブルⅡ─始まりの福音─(リバイバル版)

 ブログ記事にも個別で取り上げたタイトル。

Twitter繫がりでお世話になっている方から勝手に薦められた気になって購入し開始10分で虜になった作品。

ガラケーで遊べるRPGと侮るなかれ、ストーリーの面白さだけで言うのならば今年と言わず今までのゲームの中でも5本の指に入るくらいには面白い。

疫病はびこる中世ファンタジー味溢れる惑星、ホルス。可愛い妹と優しい両親の元ささやかに暮らしていた主人公の運命はある日一つの事件を皮切りに大きく動き出すことになる。

こう書くとありふれたファンタジーものなんだけど上記の一つの事件というのが圧倒的インパクトを持ってこれから主人公、プレイヤーが辿る道が過酷を運命づけているというなんとも重く暗いスタートをきる。

ここのディレイの取り方とか、「イヤの予感」の演出が上手すぎましたね……。

にーに、おっきした。

またコミカルなやり取りは徹底的に馬鹿らしく、シリアスなシーンは徹底的に暗晦にという風に緩急がききまっくったストーリーに「やりたい放題かよ」と笑ってしまうこと請け合い。

加えて明示はされませんがはっきりとした章立ての構成でもあり、主人公たちの目的というのがある地点をもってガラリと変わるところも面白さの一つ。

ストーリーの練られ加減をビシビシと感じます。

 

システム面も、自由度高い育成や手加減のない雑魚敵、悩ましい仲魔システム等々女神転生の面白さをしっかりと継承した作品(僕はデビルチルドレンと新女神転生5しかやってないので今デカい口を叩いています)。

特に何を差し置いても明言しておくべきなのは中盤あたりからのボス戦の鬼難易度!!

1ターンで死!負けイベかな?

ところがどっこい現実です!

 

あれ前にセーブしたの2時間前なんだけど…

ということが何度もあって心折れそうになった……

この鬼強ボスの存在がこのゲームにかなりの緊張感を与えてくれて最後までだれることなく魅力的なストーリーを追えるんですよね。

とてつもないタイトルでした。圧巻。

 

ということで今年のベスト3、が出揃ったので、今年の更新はこれで終わります。

皆様よいお年を!